ツラの皮



自嘲気味に、だけどそう語る部長はどこかふっ切ったみたいな声音で。



「足し引きじゃなく自分の本音で動いてみようと思ったら―――オマエがどうしても欲しくなった。」


~~~っ……!!



隔たりに扉がなかったら、後ろから優しく抱きしめられて、耳元で甘く囁かれてるんじゃないかって、想像出来てしまう。


部長、ギャップ萌えなんて反則っ!!



乙女心を擽るセリフの羅列に思わずトキメイテしまうけど、だからと言っていきなり高遠より好きになるかと言えば話は別だからね!?




「鈴、俺を選べ。絶対後悔はさせない。」



会場で待ってる―――



そう言い残して、扉の向こうの気配が消えた。


静まり返った空間にどっくんどっくんと自分の鼓動だけが響く。




俺を選べ、とか…

後悔させない、とか……




部長の言葉を繰り返し、熱く火照った顔を覆って呻く。





でも、やっぱり…無理っ!!
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