ツラの皮


逃げなきゃ…と決意を固めた私は、扉の向こう側の気配を伺いながらそろりと個室から抜けだした。


会場へ向かうと言ったのはウソではなかったらしく部長の姿はナイ。


ふふーん。
なんだかんだ言って詰めが甘いわよ、部長!


安気になってレストルームをでたトコロで固まった。


目の前には黒スーツの厳つい男が二人。




「ワタクシ達は碧樹様からの御依頼で見張り任された者です。」



ぎ・やぁぁぁあああああ!!!


内心絶叫を上げて、伸びてくる腕を間一髪交わして、個室へ逆戻り。


彼等は部長と違ってレストルームに踏み込んではこなかったけれども




「お時間になったら力付くでも会場にお連れしろとの事ですので、御了承頂きます。」



レストルームの入り口から聞こえた慇懃なセリフに絶体絶命を知る。
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