ツラの皮
どこからか『彼女、名家の菅原さんトコの御令嬢だろ。』『まぁ、では家柄も釣り合って…。』なんて声も聞こえる。
ふーん。
雪乃さんってオジョウサマなんだ。
知らなかった。
てか、えっ!?
雪乃さんいいの?
高遠が好きなんじゃないの!?
驚いて高遠を見れば、高遠は満足げにスポットライトの中の二人を眺めていて。
良く分からないけど…これが雪乃さんも納得ずくの事態なのだというコトは何となく分かった。
会場にライトが灯る。
逸早く私達を見付けた部長が、賛辞を奏でようと飛びかかりたくてうずうずしている客達をけん制して律動的に向かってきた。
高遠を睨みつけ高らかに舌打ちを上げた。
「やってくれたな、このヤロウ。」
それを迎え撃つ高遠はふふんと挑発的に顎を聳やかした。
「良心なんざ痛むまねーぞ。もとはといえば俺の女に横からチョッカイ掛けてきたアンタが悪い。自業自得だ。まぁ、結婚がどーしても嫌なら自力でなんとかするんだな。」