ツラの皮



「……鈴…」



雪乃さんに纏わりつかれながらも切なげな視線を投げてくる部長に私は勢いよく頭を下げた。



「婚約オメデトウございます。二人の協力とはいえもう本命の彼女の替え玉なんてこりごりなんで、このまま無事に幸せになって下さい。部長。」



鬼だろうか…うん。鬼だろう。


でも私も良心は痛まないわよ。


仏心を出して、部長と強引に結婚させられるとか冗談じゃないからねっ!!


まぁ、初対面の女性をいきなり身代わりにするのは非常識だとは思うけど……。



「「お幸せに!!」」



脱力する鉄仮面と、幸せそうに微笑む雪乃さんに二人で厭味ったらしく言って会場を後にした。




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