ツラの皮
「…あ゛。でもさすがに心が通じあっててもオマエの親みたいのはヤダからなっ。」
「分かってる。それは私も嫌。」
離れて暮らして、会いもしないくせに、何故だか未だに愛し合っちゃってる(らしい)私の親二人。
そう言うのを真の絆って言うのかもしれないけど…嫌だな、そんな関係。
「色々話したい。」
「顔も見たい。」
「喧嘩もたまには。」
「たまには、な。」
こんな風に言いたい事を簡単に言える距離がイイ。
「それに―――」
繋いだ手をグイッと引っ張られて近づけば、唇が重なった。
「手を繋ぐだけじゃ物足りないから、泊ってけ。」
こんな風に手を伸ばして触れ合える距離がイイ。
「……うんっ。」
高飛車に言いつける高遠が甘くて思わず顔を緩ませながら、大きく頷いた。
こんな瞬間、高遠が好きだなって思う。