ツラの皮




「てかさ、替えの服ぐらい俺ントコ置いとけよ。」


「え、いいの?」


「イイに決まってる。」


「歯ブラシとか?マグカップとか?」


「よし。今度の休みに買いそろえっか。」



他愛無い会話をしながら家に向かう私達の足取りは相変わらずソワソワと浮かれてて。

こんな瞬間を幸せだな、と感じる。




「高遠。」


「なんだ。」


「大好きよ。」


「………あ~、うん。俺も…」


「俺も何よ。」


「うっせ!………いつか言ってやる。」



そっぽを向いてぶっきらぼうに言う高遠の耳が赤くて、思わず噴き出せば、腕が引かれて唇が塞がれた。



「後で覚えとけよ」と凄むのがまた可愛くて、声を出して笑う。




高遠は完全に拗ねたけど。



fin/

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