ツラの皮
尋ねようとした矢先、私の胸ポケットで携帯が鳴った。
こんな時に一体誰!?
カルチャーショックに覚束無い脳のまま電話を取り、今一番話したくない相手だったと落ち込んだ。
『よー。仕事終わったかよ。オマエのこったからどーせ寂しい週末なんだろうと思って珍しく飲みに誘ってやるぞ。』
陽気な声が忌々しい。
今、私の目の前の光景を知ってそんな態度でいられるの、穂積クン。
穂積クンの電話は場所まで言っていつもどおり一方的に切れた。
「えっと・・・」
どーしよう。
二人の視線を浴びて小さく呟く。
「誘われたのでちょっと飲みに行ってくる。」
ゴメン。逃げる。
だって、話が急過ぎて思考がついていかないんだよ。