ツラの皮

「結婚………することになるかも」









お母さんが。今。聡クンと。二人がね…。



色々な言葉が脳裏を巡って、結局穂積クンの顔を見たらそれだけポロリと落ちた。


呟いた途端現実味が帯びてきて、私は我知らず泣きそうに顔を歪めていた。







穂積クンは一瞬驚いたように眉を持ち上げたが次の瞬間には「へー」と相変わらず人を食った笑みを浮かべた。


すわっ、と、



私はその顔を見て甘くも辛くも現実に引戻された。











ああ、そうなんだ。



二人の関係はもう壊れていて修復なんて不可能なんだ。







ってか、壊れる以前に出来上がってもいなかったというべきかもしれないけど……。