ツラの皮
「おっしゃ!出陣よ!」
「・・・気持ちは分かるけど、そのガテンなテンション止めなさいよ。」
拳を突き上げ、レストルームのドアを押し開ける私に友人が渋い顔で突っ込む。
「分かってるわよう。会場入りしたらちゃんとステキキャラ演じ―――」
口を尖らせ後ろへ文句を言っていた私は目の前を行きすぎようとした人物に思いっきりぶつかった。
出鼻挫かれた。
ってか、鼻っ柱を思いっきりぶつけた。
「スミマセン。余所見していたもので………」
化粧崩れを気にしながら鼻を擦り頭を下げると、頭上からぷっと嫌味ったらしい笑声が降り注いできた。
「ステキキャラとか………オマエにはアリエナイだろ。」
何ですと?