ツラの皮
むっとして顔を上げ、我が目を疑った。
「ななな、何でアンタがここにいるのよっ」
目の前にいたのは数日前、電車で難癖をつけてきたナルシストの超勘違い男だった。
すっかり忘れていたけど、その整った顔は一目見れば忘れられない。
長身が映える黒い細身のスーツが黒髪に似合って、相変わらず憎たらしいほど格好は良いけど。
「付き合いでコンパに来てみたが、誤った。かなりレベル低いじゃねぇの。」
後半はヤツの背後にいたツレに言ったものだ。
チラリとそちらに視線を向けて、心臓が跳ね上がった。
ステキ………………………っ!
柔らかな茶色の髪に、優しい面差し。
目の下の泣き黒子がゼツミョウに色っぽい。