ツラの皮
「無駄に敵を作るんじゃないよ、高遠。・・・ゴメンねカノジョ。コイツ、そもそも口悪いから気にしないでね。」
柔らかく高飛車男を窘め、私に微笑みかける。
頬の熱が一気に上昇した。
「は、はいっ!いえっ!コイツが性悪のナルシストなのは知ってますから一々気になんて致しません。」
一瞬目を丸くした二人は―――
ステキ王子様は噴出して慌てて横を向き、性悪男は苦笑いを引きつらせた。
私何か可笑しなこと言った?
オロオロとしていると背後から友人に腕を引っ張られた。
「どーいうこと、鈴。このイケメンとどういう知り合いなのよ。」
「はぁ!?イケメン?……確かにだけど、付け上がるから止めなさいよ。」
これ以上勘違いさせてなるものかと、一応釘を刺し電車での出来事を詳細に説明してやる。
「……その話ビミョウ。だって、そもそも迷惑掛けたのはアンタじゃない。」
「問題はそこじゃないわよ!コイツはちょっと顔が良いからって、女が全部自分に惚れるとか思い込んでる勘違い野郎なの。外見が高倉健だって性格がコイツならお断りよっ!」
「……その例えもビミョウ……」