ツラの皮
その姿を見た私と高遠はどちらからともなく言い合いを止めた。
なんだか無性にあほらしくなって。
麻生さんが目尻の涙を拭きながら瀕死の重態みたいにノロノロ起き上がる。
「く・・・くるし・・・。た、高遠さぁ・・・一体何を勘違いしてたのかなぁ?この間も随分不穏な顔してたけど。」
噛殺さんばかりの顔でギロッと睨むだけして、高遠はふんっと顔を背けた。
その矛先は私で。
「始めんだから、さっさとパイ拾え。グズ」
「ええっ、アンタが投げたんだからアンタが拾いなさいよー。」
抗議してみたがご機嫌斜めの俺様が拾うはずもなく、私はブチブチ文句を吐きつつ部屋に散らばったパイの回収にかかった。