ツラの皮
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朝帰りの始発の電車。
朝の清清しい陽を浴びながら、私は憂鬱に溜息を吐いた。
出会い頭の言い合いが功を奏して、高遠への緊張は些かほぐれた。
とは言うものの、まるっきり意識しないで済んだわけでもなく、動揺は大きく勝敗に影響し、至上初ともいえる惨敗を期した。
「残りも耳を揃えて早急に払えよ。」
顎を聳やかす隣の男をキッと睨む。
「ウルサイ!分かってるわよ!」
くそぅ、誰の所為だと思ってるのよ!
動揺する私を追い落とすように、高遠は私の集中攻撃。
残りの二人は我関せずといったカンジで、最終的に高遠はベタ勝ちしていた。
しかも同じ方角だからとはいえ、何で一緒に帰らなきゃいけないのよ。
からかわれるのは嫌だから精々平静を装っているものの、動揺するっての!