ツラの皮
マサカと思って出てみれば案の定高遠で。
くっ、今日もムカツクほどキマッてるわね、コイツは!
細身の黒のジーンズにさくっと着たサマーセーター、とカジュアルなくせに格好良さを際立たせるみたいに完璧。
高遠は傍若無人に私を上から下まで眺めて「ま、いいんじゃねーの」と一応及第点らしき言葉をのたまった。
くぅ、綿密に計算し尽くしたのに。
確かに高遠に負けるけど。
「親は」
「珍しく休みみたいだけど、昨日遅くてまだ寝てるわよ。」
「ふうん。ま、起こしてまで挨拶してくこともないか。行くぞ。」
はぁ………?
挨拶って、何の。
まさか『今日一日お嬢さんを奴隷として扱き使わせて頂きます』ってんじゃないわよね。
さすがに泣くわ。