ツラの皮





「なんで?私は奴隷でアンタはご主人様なんだから行く先くらい決めなさいよ。」



「じゃ、ホテル。もしくは俺ン家、とか?」





しれっと返ってきた答えに私はこれでもかというほどドアにへばりついた。



不意打ち!



今まで何事もなかったかのように振舞っていたくせに、このタイミングで言うの?


卑怯―っ!





真っ赤な顔で狼狽する私を見て高遠はくっくっと笑い出した。






「なあんつって言われたら困るんだろうが。だからお前に決めさせてやるつってんの。」







か、からかわれたっ。


なんて根性悪なの。





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