ツラの皮




一人そう納得して、チラリと高遠を伺い見るが、高遠は至って高遠で真意はまるで見えない。






「何一人で百面相してんだ。薄気味の悪い。」


「し、してないもん!」




げ、言葉同様、色々と顔に出ていたのだろうか。






高遠の挿げない突っ込みに私は慌てて表情を引き締める。


だがそこで高遠の肩越しに見つけた店にぱあっと顔が輝いた。







フロアの一郭にあるアクセサリーショップ。



基本はシルバーと最近なにかと話題のパワーストーンを扱った店なのだけど商品は全てオリジナルでちょっと凝った作りが可愛い。



宝石といっても高級志向なものじゃなくて、手の届くお値段だ。




最近シルバーにハートのモチーフと偶然誕生石があしらわれた指輪を見つけて、私の心はロックオン。





何度か、買おうと決心しつつ、その度に穂積クンの魔の召集命令により金を失い機会を逃していた。




この間は友人の結婚報告がなされて仲間内での飲み食いにパーと使っちゃったし。






いつか買ってあげるからそれまで人の手に渡らず待ってるんだよ?


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