ツラの皮
指輪に念を送る私を高遠が怪訝に見下ろす。
「オマエ、あの店に呪いでもかけてんのか?」
「え?………まさか……」
「店員がお前見て『またアイツか』って顔してたぞ。」
「っ、そんなことないし!」
このあたりに来たときは必ず寄って暫くお気に入りの指輪を眺めてニヤニヤしたりはするわけで……。
うわ、私って店員に変な奴だと思われてたんだ。
もうこりゃ、次はちゃんと金を持ってお買い上げの時じゃなきゃ。
羞恥で顔を赤らめた私は店員の不審の視線から逃れるように高遠の背中を押してその場から遠ざかった。