ツラの皮
それを見た美女は獲物を甚振る肉食獣みたいに残忍に笑った。
「あらあら。私はアナタが心配で親切に忠告しにきてあげたつもりなんだけど、遅かったかしら。ったく、タカトーも罪な男ね。こんなチンチクリンをその気にさせて何が楽しいのかしら。」
チンチクリンで悪うごさいました。
大体、アンタと比べれば…………って、ハイ?
「その気って、何?」
きょとんと問い返すと美女は眉を顰めた。
「何を今更とぼけてんのよ。アンタが高遠に絆されたってこと。要するに好きだってことでしょ。」
もーいや、この子あったま悪ーい、と言いたげな美女を私は呆然と見上げる。