蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「コーヒー苦手だったろ?」
「あ、すみません。
……でも、今はなんとか飲めるようにはなりました。
おいしいとは思わないですけど」
「会社はコーヒーしかないもんな」
課長が笑いながら私のななめ前に座る。
何も音のしない空間が、緊張を異常に高めていた。
どうしよう……。
なんか言われるまま部屋に入ってお茶なんかもらっちゃってるけど、こんな事してる場合じゃない。
どうにかして帰る手段を探して早くこの部屋を出ないと。
こんなふたりきりの空間に長時間いるなんて耐えられない。
本当にかなり失礼なのは承知の上でお金を借りるしかないのかもしれない。
「ところで、コレ、もしかして俺へのお見舞い?」
考え込んでいた私に、課長が聞く。
課長が持っているのは、私が持ってきた紙袋だった。