蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「男が苦手だっていうのは知ってるけど、それとは話が違う。
大体、優花の顔見てれば視線なんか関係なしに嘘ついてるかどうかなんてすぐ分かるし
俺がどんだけ優花の事見てきたと思ってるんだよ」
「呼び捨て、やめて」
「優花」
「やめてってば……!」

無理やり合わせられた瞳。
私が思わず声を荒げても、課長は表情一つ崩さずに私を見ていて……。
それが気持ちの大きさの違いに思えて、悲しくなる。

私には、そんな余裕を持って課長を見つめられるほど、あの過去は小さなものじゃないのに。

「私、課長みたいに器用な人間じゃないんです……っ。
四年ぶりに会って興味本位でこんな風に構われても、困るんです」

ぐって歯を食いしばる。
そんな私に、課長は真剣な顔で言う。



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