蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
なんでもできる人なのに。
誰にでも好かれる人なのに。
私との過去を後悔してこんな風に落ち込んでる課長が、不器用に見えて仕方なかった。
愛しくて……仕方なかった。
「……これ、なに?」
「いいこいいこです」
「いや、それは分かるけど。
俺、なんで頭撫でられてるの?」
「なんか……可愛く見えたから」
「なんだそれ」って笑った課長の吐息が肌に触れる。
それさえも嬉しくて、課長の頭をそっと抱きしめた。
―――今、このまま時間が止まればいいのに。
上司と部下って立場も、彼女の存在も、臆病な気持ちも。
全部が消えてる今、時間が止まればいいのに。
溢れてくる課長への想いが苦しくて、きつく目を閉じた。