蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—



「はい、優花。
私のおごりだから遠慮せずに食べてね」

知美がニッコリと笑う。
私の前には、数種類の抹茶プリン。
値が張るモノばかりのプリンに、顔をしかめて知美を見た。

「昨日あの後、本当に反省したの。ついつい気持ちが先走っちゃって……ごめんね」

課長と一緒にパンを買いに行って、課長の部屋で食べて。
食後の紅茶を飲み終えたところで、知美の顔がインターホンに映った。

『藤堂課長、すみませんでした』となぜか微笑んだ知美に、課長は苦笑いして『俺じゃなくて吉野に謝れ』ってそれだけの注意をした。

会社では受付をしている知美と営業推進部にいる課長とはほとんど関わりがない。
なのに、電話の時といい今といい、随分打ち解けて見えたのは、この間、食堂で話したからなのかな。
課長は誰とでも仲良くなれるし、知美も受付嬢だけあって誰とでも人見知りしないで話せるし。



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