蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「な、なら、いいの。
その……私こそ変に疑っちゃってごめんなさい」
「じゃあ、これで仲直りね。
これね、課長の部屋に行く前に買ったの。
色んなお店の抹茶プリン」
パっと表情を変えた知美が言うのは、テーブルに並べられた6個のプリン。
どれも抹茶味って書かれていて、そのうちのひとつを手に取りながら首を傾げた。
「私が抹茶プリンが好きなんてよく知ってたね……。言った事あった?」
休みの日とか、たまに一緒に買い物に行ったり食事に行ったりするけど、社食を含めて抹茶プリンが置いてある飲食店ってあまりない。
だから、知美の前で食べたりした事ってないと思うのに……。
「ふふ。私には優花の知らない事なんてないもの。
優花専用の情報屋がいるから」
「情報屋……? 誰の事? 松浦?」
微笑んだ知美は「秘密」って言うだけで。
私の事を詳しく知っている人なんて思い浮かばないし、冗談かな、なんて思いながら知美の買ってきてくれたプリンを開けた。