蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


肯定にとられるかもしれないって分かっていたけど、まっすぐに見つめてくる松浦と目を合わせていたら、全部が暴かれてしまう気がして怖かった。
そんな私を見た松浦は、少し黙った後「やめとけよ」と静かに言った。

「縁談だってまとまったって話だろ。
笹川専務の持ちかけてきた縁談だって言うし、もし今から断ったりしたら課長だってただじゃすまない。
分かるだろ?」
「……だから、課長じゃないよ。
忘れられないのは別の人で……」
「今だって、どうせ課長と話でもして泣かされたんだろ?」
「だから、違うってばっ」
「課長なんか忘れて俺にしろよ、吉野……。
俺だったら泣かせない」
「違うって言ってるでしょ!
もう、やめて……。何も聞きたくない……っ」

溢れ続ける気持ちと、色々な事情で頭がいっぱいになって、気付いたらしゃがみ込んでいた。
頭が痛い。気持ち悪い。

もう、何も見たくない。何も聞きたくない。何も知りたくない。

ただ想いを寄せるだけで幸せだったあの時に戻りたい――。






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