蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「吉野、降りられるか?」
先に降りた課長に言われて、慌てて後に続いたけど、降りた途端少しぐらっと身体が揺れた。
課長が腕を掴んで支えてくれたから転ばずにすんだけど、ふらふらする。
「吉野が飲んでたやつ、飲み口はいいけどアルコール度数が高いんだよ。
それで酔ったんだろ。
普段飲まないのに無理して飲んだりするから」
「別に無理したわけじゃ……あの、それよりここ……」
見覚えのあるマンションを見上げながら聞くと、課長が私の腕を掴んだまま歩き出す。
「吉野の家分からなかったから、とりあえず俺の部屋で少し休んでけ。
こんな状態じゃ心配でひとりで帰せない」
後ろでタクシーのドアが閉まって走り出す音を聞きながら、課長に支えられるまま歩く。
しばらく状況が分からなくて、連れられるまま歩いてたけど、課長がエレベーターに乗り込もうとしたところでハっとして立ち止まった。