蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
真剣な顔で言われて戸惑ったハズなのに。
アルコールの回った頭は制御不能で、考える間もなく率直な気持ちを声にしていた。
「それももちろんあるけど、それだけだったら部屋になんか上げないだろ。
送り届けて帰ってくればいい話だし」
そこで一度切った課長が、困り顔で微笑む。
「そろそろ大人しく乗ってくれないと、変質者が女を連れ込もうとしてるって通報されそうなんだけど」
確かに騒ぎすぎた自覚はあったから、言われた通りエレベーターに乗り込む。
エレベーターに乗っている間も、部屋に入るまでも、課長はずっと私の腕を掴んでいて。
まるで逃げ出さないようにしているみたいに思えて、勘違いだと分かっても嬉しかった。
「すみません、何度もお邪魔しちゃって……。
課長、他人を部屋に上げたりするの、あまり好きじゃないのに」
足元はふらふらしていたけど、気持ち悪いだとかろれつが回らないとかはなく、思考回路もまぁまぁ無事だった。