蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
恋人がいるのにお邪魔しちゃって悪いなと思ったり、部屋に入る事に抵抗を感じる程度の常識は残っていたけど、ただ、自分の気持ちに対してはストッパーが外れている気がして落ち着かない。
さっきだって、普通に『それは、私が部下だからですか?』なんて聞いてしまったし。
そんな、課長の気持ちを試す様な事、普段なら言えないのに。
「あれ、バレてたんだ」
私をソファに座らせた課長が、冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出しながら言う。
「普段は社交的ですけど……。
自分のテリトリーには踏み入れられるのが苦手だって、大学の頃から見てなんとなく知ってました」
「その通りだけど、優花は別だよ」
呼び捨てにされて、胸が跳ねる。
「水飲める?」
「あ、はい……あれ」