蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


からかうみたいに言った課長を、じっと見つめる。
そのうちに課長の顔からも笑みが消えて……真剣な顔になった課長に、胸が高鳴る。

男の人の真剣な顔は怖くて苦手だけど。
課長の真剣な顔は好き。
ドキドキして、堪らない気持ちになる。

「暴走するって言ってるだろ」

隣に座り直した課長が、私を見つめながら言う。
伸びてきた手が、頬にくすぐるように触れる。

頬に触れた手の上に自分の手を重ねて、課長を見つめる。
課長がゆっくりと近づいている事に気づいて、また鼓動のテンポが速くなった。

「……優花。逃げないと」
「暴走、してください」

そんな言葉を口走ったのは、アルコールのせいなのか、溢れすぎた気持ちのせいなのか。
答えは分からなかったけれど、本当に驚くくらい素直に言葉が出てきた。




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