蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
一本路地を入ると、車の数はぐんと減る。
細い道だから街灯が心細いけれど、課長が一緒だから怖いだとかそういう不安は浮かばなかった。
否定できずに困って笑うと、課長が続ける。
「でも俺は、優花が一番自然でいられる形で付き合っていければそれでいいよ」
「自然?」
「周りの目が気になるなら、絶対にバレないようなデートコースを考えるし、優花がつらくないならずっとドライブとか部屋とか密室でもいい。
遠出がいいって言うなら評判のいい場所を探すし、バレても構わないなら学生のカップルみたいにどこだろうが手を繋いで出歩く。
優花の好きなようにすればいいよ」
そう微笑まれて……胸が一気に締め付けられて苦しくなってしまった。
なんでそんなに優しいんだろう。
欲目なんかじゃなく、課長は優しすぎる。
「なんで、そんなにしてくれるんですか?
課長は優しすぎます」
非難しているように聞こえたのか、課長は笑って「まさかそんな理由で責められると思わなかった」ともらした。