蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「そんな口実に本気で騙されてると思わなかった」と笑った課長が、かがんで至近距離まで近づく。
恥ずかしくなって一歩後ずさろうとしたけれど、玄関ドアにすぐ背中がぶつかった。
「自分の女が部屋にきて何もしないで帰す男はいないよ」
課長の低く甘い声が耳から直接入り込んできて身体がすくむ。
そんな私に耳元でクスっと笑った課長はそのまま耳にキスをして、片手を背中に這わす。
腰の辺りからゆっくりと撫でていく手にゾクゾクとした感覚が背中を走って抜けていく。
ただ背中を撫でられているだけなのに、もうこんな風に動けなくなるなんて、私はおかしいのかもしれない。
「課、長……」
止めようと呼ぶと、「悠介、だろ」と訂正される。
名前でなんて呼んだらうっかり会社でも呼んじゃいそうで嫌だって言ったけど、課長はふたりきりの時は名前でって珍しく自分の意見を押し通した。
私は課長みたいに器用じゃないのに。