蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
茶目っ気たっぷりに聞く知美に
苦笑いしながら首を振ると、知美は「本当かなぁ」なんて笑いながら続ける。
「悠兄に忘れられない人がいる事は前から知ってたの。
優花のところに配属される少し前、一緒に飲んだ事があってその時ちょっと吐かせたから」
「……課長、お酒弱くないよね? すごい飲ませたって事?」
「それもあるけど、気持ちが弱ってたからって方が大きい感じだったわ。
でも、吐かせたはいいけど、悠兄の想いが真剣でさすがの私でも突っ込んで聞けなくて。
後味のいいお酒じゃなかったからどうしようかなーなんて思ってたら、優花の様子がおかしいじゃない?
まさかとは思ったけど、探ってみたら本当にそうでびっくりしたわ」
「探ったって……いつ?」
「同期の集まりの時。忘れられない人がいるって松浦に聞いて、優花に確認したでしょ?
あの内容と、同じ大学だって事で、多分悠兄の忘れられない相手が優花だって分かったから、その後本格的に悠兄を問い詰めて全部話させたってわけ」
「どうやって?」
「簡単だったわー。悠兄、いつもはガード固いのに、松浦と優花ふたりきりにしてやるって脅したらすんなり話してくれたから」