蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


無理だ。

見ているだけで満足できるほど憧れている人と一緒に過ごすなんて、私には絶対に無理だ。
自分の人見知り加減はよく知っていたから、素直にそう思ってもう片付け自体を辞退しようとも考えた。

けれど、大量の本を藤堂先輩と先生に押し付けるような事もできなくて。
元々真面目な私にはサボるなんて事ができないのだから、頑張って早く終わらせる以外ないんだと随分考えた後ようやく気づいた。

普通のトーンで挨拶を交わせるようになるまで一週間。
講義の話とか、大学の話がまともにできるようになるまで三週間。
その他、何気ない事を話して、笑顔が引きつらなくなるまで2ヶ月。

私が慣れたのもあるけど、慣れさせてくれた藤堂先輩のおかげだと思う。

私が男の人が苦手だって分かってる先輩は、いつも一定の距離感を保ってくれたし、話しかけてくれる時もプライベートな話題は私が慣れるまで避けてくれた。




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