蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
『どんな講義とってるの?』
『お昼は食堂派? 購買?』
『あ、この本。小学校ん時、課題図書にならなかった?』
何気ない会話だけど、その中に藤堂先輩の優しさが感じられて、いつも嬉しかった。
けど、気になる事もあって。
『あの、別にこの作業は強制じゃないし、先輩、用事ある日は来なくても大丈夫ですよ』
『でも吉野は毎日来てるし』
『私は、本が好きだから……。
それに、バイトとかもしれないし、予定もないので。
でも、先輩は友達とか……』
『ああ。大丈夫』
ここの手伝いを始めるまでは、先輩が友達と帰っていくのを見た事があったのに。
同じ講義をとってる子が、『駅ビルで友達といるの見ちゃった!』とか、騒いでるのを聞いた事もあったし。
なのに、先輩は何度聞いても『大丈夫だから』って笑うだけで。
私に気を使ってくれてるんじゃないかって、それがずっと気がかりだった。