蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「それも、吉野が煽るからだろ。
興味本位だとか言い出すから、ついカっとなって……。
そんなに嫌だった?」
本気で聞いてるのか、私の気持ちに気付きながらわざと聞いてるのか分からないけど。
どちらにしても、素直に答える事なんてできないから、それには答えずに課長の前を通り過ぎた。
「……私、この後用事があるので失礼します」
別に、課長から逃げたいための嘘じゃない。
今日は本当に用事がある。
そのおかげでスムーズに課長から逃げられた事にホっとはしているけど。
感謝すべきなのは、先週強引に誘ってくれた、同期の―――。
「―――松浦健吾、と?」
言い当てられて驚いて振り向くと、課長の強い眼差しが私を捕らえていた。