蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『吉野、誘っておいて悪いんだけど、俺他の飲み会に先輩から呼び出しかかっちゃってさー。
もう、今日の事楽しみにしてたからすげーガッカリなんだけど。
でも、こっちが終わったらすぐ行くから!』

お店の中からだったのか、松浦の声の向こうからは賑やかな声が聞こえていた。

「松浦、今日楽しみにしてたのに可哀想だよね。
はい。とりあえず、これでいい?」

テーブルに並んでる料理を少しずつとってくれた知美が、私の前に小皿を置く。

「あ、うん。ありがと」
「ところで、松浦ってまだ優花の事諦めてないっぽいよね」

ギクってした反動で、割ろうとしていた割り箸が変な音を立てて折れる。
不恰好に二つに分けられた割り箸に苦笑いをもらしながら、小皿に乗った料理に箸をつけた。



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