蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「……誰から聞いたの?」
「一ヶ月前、優花に振られたってやけ酒してた松浦に付き合った時に、無理やり吐かせたの」
「あ、そうなんだ……」
「その忘れられない人って、誰?」

聞かれると思ったから、明後日の方向を見て誤魔化してたけど……。
漫画だったら“じー”って効果音が2,3コマ続きそうなくらいの無言の催促をされて。

誤魔化す事は諦めて、割り箸をいじりながら説明する。

「大学の時に付き合ってた人がいて……。
付き合ってたっていうか、そんな関係だったのかも分からないような感じだったんだけど」
「なんで? どっちからか告白とかなかったの?」
「した、のかな……。
その人、彼女と別れて寂しそうだったから、一緒にいたいみたいな事を私から言って……。
それからしばらくした後、彼から“付き合おう”って言ってくれたんだけど……」
「それって、きちんと付き合ってるって事じゃないの?
優花も彼も想い合ってたって事だと思うけど……そう言い切れない事情でもあるの?」




< 36 / 225 >

この作品をシェア

pagetop