蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「何も聞かないの……?」
「優花が聞いて欲しいなら、いくらでも聞くけど……。
私にだって、入り込んでいいか悪いかって事くらい区別つくもの」
そう苦笑いを浮かべた知美が、それにねと続ける。
「男の人が苦手な優花がそこまで好きになって、四年経った今でも忘れられないなんて、すごい事じゃない。
そんな事を根掘り葉掘り聞きだそうとするほど下衆じゃないし」
知美は中ジョッキを両手で持ってゴクっと飲む。
それからニコっと笑って「正直言えば、聞きたくてうずうずしてるんだけど」と付け足した。
「でも、松浦と違って優花は繊細だから。
無理やり飲ませて吐かせたりしたら、次の日から軽蔑されちゃいそうだもの」
「……それ、私じゃなくても怒ると思うよ。
っていうか、松浦って無理やり吐かされたんだ」
「そんな言われ方は心外だけど、まぁ、そんなところね。
だけど分かりやすく落ち込んでたら、そうしたくもなるじゃない」