蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『寂しい? 寒いからですか?』
『んー、そうかも。人肌恋しいのかな、俺。
最近、ここの片付け終わって帰る時とか、ふと寂しい気分になるんだよね。
あーなんかひとりぼっちだなーって』
『……先輩って、結構ロマンチストなんですね』

笑うと、先輩が苦笑いを浮かべて私を見る。

『だって、ここでは作業しながら吉野と色んな話して笑って、そんな事してると先生に怒られてで騒がしいじゃん。
それが急にひとりになると、なんか足りない気分になるし。
吉野は帰り道寂しくなったりしない?』

一瞬、答えに迷った。
素直な気持ちを言っていいのかどうかを。

『私は……帰りは電車だし、ぎゅうぎゅうに車内に押し込まれてる状態だから、あまりそういうのを考える時間もなくて』



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