蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
『まぁ、そうだけど……』
俯きがちにそう呟いた先輩。
見ていると顔を上げた先輩と目が合って、笑顔を向けられた。
寂しそうな、笑顔を。
『事実だけど、そんな言われ方されちゃうと俺凹むかも。
この片付けが終わったら本当に会えなくなるみたいで』
ははって笑いながらもその顔が切なくて……胸がぎゅって苦しくなった。
だって、寂しそうに微笑んだ先輩が言った言葉が、別の意味に聞こえたから。
“本当に会えなくなるみたいで”
別れた彼女を想ってるみたいに聞こえたから。
別れた彼女の事を想う気持ちは多分、今も色あせてなんかいない。
私なんかに相談したくなるくらい想ってるんだから。
こんな風に切なく微笑む先輩が、誰を想って寂しさを募らせているのか……。
そんなの、愚問だった。
先輩が一緒にいて欲しい誰かは、私じゃない。
それは分かってる。
分かってるけど――……。