蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『じゃあ、お願いしようかな』

え、と漏らしながら顔を上げると、優しく微笑む先輩と目が合う。
そして。

『俺の傍にいてくれる? ……優花』
『あ……はい』

間の抜けた返事をした私を見て、また先輩が微笑んだ。


図書館の片付けが無事終わったのは、そんな事があった数日後。
けど、先輩は大学がある日はほとんど私を待っていてくれて、一緒に帰ったり寄り道したりして。
土日も、どちらかは必ず遊びに誘ってくれた。

周りからは羨ましがられて色々聞かれたりしたけど……私はそれに曖昧に笑うしかできなかった。
“傍にいてくれる?”って言葉の意味をどう捉えたらいいのかが分からなかったから。

ただ、寂しさを埋めるだけの付き合いって事なのか。
それとも……恋人としてって意味なのか。

図書館の片付けが終わってから、一ヶ月。
不安になりながらも聞き出せないでいる私を見透かしたみたいに、先輩が言った。


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