蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
『あのさ、ちゃんと言っておきたい事があるんだけど』
先輩がいつになく真面目な顔をしてそう言ったのは、昼休みの図書館。
“話があるから”ってメールで呼び出された私は、ビクビクしながら先輩の隣に座っていた。
関係の解消だって思ってたから。
先輩との思い出がいっぱい詰まった図書館を嬉しく感じながらも、嫌なドキドキで倒れそうだった。
この関係が終わっちゃうって、そればかり考えてた。
『傍にいて欲しいなんて、曖昧な事言っちゃったけど』
『はい……』
『優花が勘違いしてるとイヤだから、ちゃんと言おうと思って』
『……はい』
ドキドキドキドキ、胸が騒がしすぎて気持ち悪くなりそうだった。
沈黙が、執拗に緊張感を煽る。
『優花、こっち向いて?』
呼ばれて、ぎゅって手を握り締めてから、ゆっくりと先輩を見上げる。
後ろから冬の日差しを浴びる先輩の髪が、明るい茶色に光っていた。
先輩が浮かべるのは、優しい微笑み。