蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
『俺と、付き合ってください』
一瞬、事態が把握できなかった。
何を言われたのかもなんで微笑まれてるのかも、全部が分からなくて、頭の中が真っ白に飛んでた。
けど、『もしかして、ダメ……だったり?』と苦笑いで聞かれて、ハっとして首を振った。
『でも……あの、私でいいんですか……?』
『うん』
『でも、私、地味だし……、』
『そんな事ないよ。
俺は優花の事可愛いと思ってるし、おとなしくて優しい性格も好きだし、一緒にいて落ち着くんだ』
『先輩に、釣り合わないし……』
『そんな事ない。でも、俺の方が優花に釣り合わないかもしれないけど』
『そ、そんな事ないです……っ』
『でも、例え周りが何を言っても俺は優花と付き合いたいし、誰にも何も言わせないから』
ぎゅって握られた手。
先輩の手は少し震えていて、驚いて見上げると苦笑いを返された。
『かっこ悪いよな。緊張したりして』
ぶんぶん首を振る。
かすかな震えが嬉しくて、心の中から温かくなるみたいだった。