蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「そうか? 俺はカマトトっていうより、なんか常にビクビクしてるイメージだったけど」
「男は例えそれが演技でもそうとしか感じないでしょ。
同性だとそれが演技だってすぐ分かるから、気付かない男にイライラするのよね」
「え、マジで? わざとビクビクとか演技してんの?」
「受付はほとんど演技だと思うけど」
「受付って、大澤んとこじゃん」
「そう。だから他社の営業に色目使う姿を見てるとうんざりして疲れるの。
一日の疲れの半分以上はイライラを消化するために使ってると思うくらい」
「マジで?」って呟いた松浦が、顔をしかめながらご飯を口に運ぶ。
今日のA定食は、鶏肉の竜田揚げとポテトサラダ、それとタマゴスープと杏仁豆腐。
私も知美も同じメニューだ。
「優花みたいに根っからの男嫌いなんて珍しいんだから」
「嫌いじゃなくて、苦手なだけだろ?」
「あ、うん」