蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


私が松浦の告白に応えない事や、誰とも付き合おうって気になれないのは……。
課長との恋があるからだ。

次の恋愛をしたら、課長との恋を上書きされちゃうみたいでイヤだし、なにより、まだ課長との恋を過去にできていないから。

「そんなわけないでしょ」って、すぐに軽く笑いながら返せばよかった。

変に空いた間のせいで、今から冗談で誤魔化すのは無理に思えた。
だからって、素直な気持ちを打ち明けるのもためらいがあって……。

どうしよう。
焦りや動揺から胸が嫌なリズムで動き出す。

誤魔化さなくちゃと思いながらも都合のいい言葉が何も浮かばなくて困りきって俯いた時、上から声が聞こえた。

「吉野、午後からの出店希望店舗の会合、13時半からに変更になったから」
「え……」

見上げた先にいたのは、トレーを片手に持った課長。
何も返せずにただ見上げていると、課長は不思議そうにした後、ふっと笑った。



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