蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「なに泣きそうな顔してるんだよ。
大丈夫だよ、飯食う時間はあるから」
「べ、別にそんなんじゃないです……っ」
「でも、あまりゆっくりしてる時間もないからちょっとは急げ」
「あ、はい」
「藤堂課長、ここ空いてるし座ったらどうですか?」

立ったままの課長に、知美が声をかける。
課長は「あー……じゃあそうするかな」と椅子を引いて、私の斜め前に座った。

四角い四人がけのテーブルが全部埋まると、なんだか息苦しくなる。

しかも、隣が課長だなんて……。
どうしていいか分からなくて、食事もうまくできない。

「出店希望店舗って、新しく作るショッピングモールのですか?」
「ああ。今日は紳士服の会合。
まぁ、俺たちはそれぞれの店の価格のラインと業績の伸び率をまとめるだけだけど。
あとは部長任せだし」
「でも大変ですよね。出店したいお店たくさんありそうだし」
「いい事だけどな。熱い態度でこられると、こっちもやる気にさせられるし」


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