蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


知美と会話する課長をチラっと盗み見する。

別れを告げてからは、課長が卒業するまで大学でも外でも避け続けた。
一度だけ駅で待ち伏せしていた課長に腕を掴まれて、逃げられない状態になった事もあったけど……。
腕の強さに身体をすくめた私を見て、課長はキズついたみたいな顔をして……。

『……ごめん』って、一言だけ言った。
それが何に対する謝罪だったのかは未だに分からないけど。

それからは、課長からコンタクトをとってくる事はなくなった。
それが、大学2年の春。

四年ぶりに再開した課長は……もう、私の知ってる“先輩”じゃなかった。
きちんと仕事のできる、男の人だ。

「吉野、大丈夫か?」

急に聞かれて隣を見ると、松浦が心配そうに私を見ていて。
その意味が分かって、笑顔で首を振る。

松浦が、急に隣に座った課長に私が怯えてると思ってるのが分かったから。


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