蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
……でも。
課長を好きになった事を、課長と過ごした日々を悔やんだ日は一度もなかった。
一度もなかったし、白状すれば私は今も課長に恋したまま。
もっと言えば、課長が私を忘れていなかった事も、この前のキスも。
本当は……嬉しかったんだ。
呼んでくれた名前も、触れてくれた指先や唇も。
課長がしてくれる事は、そこに私への特別な想いがなくても。
全部が泣きそうになるくらい嬉しい。
でも、だからって今の私には課長にぶつかっていく勇気はない。
『傍にいたいです……』
あの頃の私みたいに欲しがる勇気が、今の私にはない。
―――素直に欲しがって失った後の事を、もう知ってしまったから。