蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
◇想いのジレンマ



「ありがとうございました」

出店希望店舗会合に訪れたすべてのお店の方を見送った後、ふぅっとため息をついた。

紳士服のお店は新設するショッピングモールに入れても3店舗。
その募集に対して、応募は10倍以上。

すべてのお店の情報を比較できるようにまとめて部長に提出できるまでにするには、結構な時間が必要そうだった。

課長も大変だな。
移動してきてすぐの仕事が、こんな大仕事だなんて。

課長の事だから「やりがいがある」なんていいのけそうだけど……。
頑張りすぎる一面を知ってるだけに、心配せずにはいられない。

両親からの仕送りに出来る限り手をつけたくないって、家賃や生活費を作るためにいつもバイトを掛け持ちしてたり。

図書館の整理の時だって、その後バイトに行ってて。
片付けは大丈夫だからって何度も言ったのに、一度も休んだりしなかった。



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