蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
そのせいで片付けの途中立ちくらみを起こして……。
『あー……ごめん』
支えようとしてそのまま倒れこんだ私の太ももの上には、先輩の頭があって。
混乱して思わず突き飛ばしそうになった時、『こうしてると、気持ちいい』って先輩が呟いた。
ドキドキしながらもそのままじっとしてる私を見上げて、先輩が微笑んで。
『少し、このままでいてもいい?』って聞いた。
確か、私が告白する少し前の事だ。
『……片付け、休んでください。
先輩の身体が心配です』
『でも、来たいんだよ。吉野がいるから』
せかす胸に押されるみたいに、先輩のおでこに伸ばしそうになった手に気付いて、ぐって止めた。
今思うと、恋を知ったばかりの私は、結構積極的だったのかもしれない。
っていうよりも、怖いもの知らずだったのかも。
恋を失った時の事を知らなかったのだから。