蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
ははって笑う課長に、胸がきゅって縮こまったのが分かった。
大学の時も、確かそんな話をした事があったから。
人気者の先輩に本の片付けなんかを手伝わせるわけにはいかないって言った私に、課長は同じ事を言って同じように笑ってた。
その時の姿が重なって、懐かしいような嬉しいような、泣きたいような。
色んな感情が一緒くたに湧きあがってくる。
「……買いかぶってるとは、思いませんけど」
呟くように言ってから作業に戻る。
うっかりしてると、ついつい課長を見つめちゃうから。
ぶつかる事なんてできないくせに、恋する気持ちは私の事情なんて構わずに、ところ構わず顔を出して衝動となって現れる。
課長を見つめたい、課長の声が聞きたい、課長に……触れられたい。
近づく勇気なんてないのに、そう思う気持ちは止められなくて。
私の心の中は、いつもそんなジレンマに支配されているから苦しくて……困ってしまう。